2022年11月16日水曜日

道徳

君の意志の格率が,つねに同時に普遍的立法の原理として通用することができるように行為しなさい(カント)


格率というのは,自分で決めた行動方針のことです。「試験の時,近くの受験者の回答をカンニングして済ませよう」ということを決めたとしたら,それも格率です。つまり,格率には良さげなものとそうでないものがあることになります。

カントは,様々に存在するであろう格率の善悪は,意志と普遍性によって定まると考えました。「試験はカンニングで済ませる」という格率に普遍性があれば,受験者全員がその行為をすることになるので,カンニングそのものが成り立たない事態となります。普遍性のない格率は,自分以外の多くの人がルールを守ることが期待される中で,自分を「例外」として扱う意志が伴っています。いわゆる「ズルい」と言いたくなる状況が該当します。

一方,「困っている人には手を差し伸べるべきだ」という格率はどうか。これが普遍的だとしたら,カンニングのような間抜けな事態にはならないと思われます。格率が普遍的であることが道徳の最上の原理であることをカントは見出しました。

冒頭の言葉は,「格率に普遍性があるかを自分で問い,普遍性が成り立つならそれを行うべきだし,普遍性が成り立たないならそれを行うべきではない」ということです。

道徳を教わる際,道徳の教師がこの道徳原則に従って振る舞うことができる人だったら,学生は幸せでしょうね。振る舞える人だったら…。

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