2021年3月24日水曜日

礼儀

空手は義の補け(船越義珍)


「女子空手五輪代表・植草 帝京大時代の恩師・香川氏をパワハラ告発へ」というニュースがありました。空手は素手の技芸のはずで,竹刀で目をつくほどの指導など,もしそれが事実ならちょっとどうかしてます(※)。「礼に始まり,礼に終わる」をいくら掲げても,空手が身についても礼儀が身につくわけではありません。無相関。頭の良さと礼儀も無相関。

「我こそは公認の指導員なのだ! 指導員が言うことが絶対なのだ! 指導に不条理があって当然! その指導にイチャモンをつけるなど公認の指導員に対するハラスメントだ!」などと礼儀よりも肩書を振りかざす輩に,不幸にも出会ってしまったことがあります。対等の立場で論理的に話せない人の事例として子どもの教材にしました。ドラマ「半沢直樹」でもワルは立場・役職・権力を振りかざしてマウントを取る様子が描かれるので,子どもにも「同じ構造」であることが伝わりやすかったようです。義の輔けにすらなっていないトホホな人が権力を持つとロクなことになりません。物理的な意味での「空手」は上手いのかもしれませんが,「人格完成に努める」とか,上から精神論を語る資格はまるでない,「KY」な指導員なのでした。空気読めないではなく,権力(K)歪める(Y)。空手道の精神(K)歪める(Y)。「KY」にはご注意を。

ちなみに,学生にも,その当時の一悶着の様子が分かるすべてのメールを読んでもらいました。(その指導員の方も上層部にメールを見せたそうなのでおあいこ)。全員から「ヤバい。さっさと辞めるべき」という尤もな意見。辞めるが正解。

教員もある意味で権力を持つ側なので,このトホホな方を反面教師として学んだことになります。(というか,学ばなくても常識なんですけどね,ホントは。)


※2021年5月11日現在,この事実は怪しそうだという流れのようです。その意味では良かったとも言えなくもないですが,僕自身の不幸は事実です。

※2021年8月6日追記:東京2020女子空手形で,金メダルに輝いたスペインの選手が,日本のコーチに正座で礼をしたことがニュースになりました。「礼節を学ばせてもらった」「素晴らしい」「取るべくして取った金だったんだ」など高評価です。ただ,空手を通じてその境地に立てる人もいれば,そうでない人もいる。そうでない人が指導者になると最悪。きっと,件の指導員は,このスペイン選手の話を道場生に紹介して,礼儀の大事さを話すんだろうな。まさに「おまいう」の空間になるんだろう。

※2022年3月8日追記:ロシアのプーチン大統領が国際柔道連盟の全ての役職を解任されたようです。ワールドテコンドーも「平和は勝利よりも貴重である」ということで名誉9段黒帯を剥奪した模様。見方次第では武道の修得と礼節が関係がない事例とも言えます。政治的要素が含まれるという点で事例とするのはいかがなものかという意見もあるでしょうが,「権力を持った時の振る舞い」というところでは共通するものと思われます。

※2022年11月2日追記:旧統一教会絡みで岸田内閣の辞任ドミノの一番バッターとなるかもしれない山際さんは今も空手が現役だそうで,やっぱり「空手→礼儀」のパスは期待できない。「権力」「権威主義」とのパスの方が高そう。